02ダンス 06セネガル文化

インタビューされて気づいたダンスの本質

学校でダンスが必須科目になってから、メディアなどもダンスについて取り上げる機会が増えた。

その中でも、世界のダンスに着目する番組が増え、あらゆるジャンルのルーツとしてアフリカがピックアップされることが多い。

しかも、EXILEのメンバーが「セネガルのダンスが世界最強」という言葉を残したことから、最近ではアフリカのダンスと言えば、セネガルが注目されている。

そういうことから、私はよくメディア関係者からセネガルのダンスについてインタビューされる機会が増えた。

そこでよく質問されるのが、「セネガルではダンスが日常生活にどのように密着してるか。」

これが結構、どう答えようか毎回悩む。

 
 
セネガルにはグリオと呼ばれる伝統継承をする一族がいる。
 
 
彼らは歌や音楽を伝達手段として、歴史や教訓などを伝えたり、人々を鼓舞したりしている。

そういったグリオたちが今でもセネガルにはたくさんいて、彼らの活動は冠婚葬祭には欠かせない。

人生の節目には必ずと言ってよいほど、彼らは呼ばれ、彼らの演奏や歌で主賓を讃え、集まった人々を楽しませ踊らせる。

その演奏は、昔から伝わっている伝統的なものが多く、必ずダンスが伴う。

そういった意味で、親戚、友人含め、人生にお祝い事がある限り、ダンスに触れないことはあり得ない。

 
 
そんな音楽一族がたくさんいるセネガルだが、音楽やダンスと全く無縁なサラリーマン一般家庭の方が実は多い。

その人たちが、普段から踊る機会があるかと言ったら、そうでもない。

一般家庭で育った男性に関しては、『ダンスパーティーに顔を出すことは恥ずかしいこと』と教育されている。

そういう人たちに「踊りできますか?」と尋ねれば、たいてい「できない。」と答える。

そういう家庭の子供たちが「将来はダンサーになりたい。」と言おうものなら、両親はまず反対する。

「ちゃんと勉強して、いい大学を卒業して、いい会社に就職しなさい。」と。

セネガルの一般家庭においては、なんら日本とそんなに変わらないように見える。

だけど、あえて日本と比べるならば、圧倒的にセネガルの方がダンスに対しての抵抗感が少ない。

高揚した気分を体で表現することを恥ずかしいと思う人はいないし、それを白い目で見る人もいない。

 
いつでもどこでも公共の場でセネガルポップスが流れ、その聞き慣れた音楽は国民たちに愛され、彼たちは口ずさみ、体を揺らす。

テレビをつければ、音楽番組やお祭りなどの中継で踊ってるシーンがいつでも流れ、コメディアンや人気アーティストはこぞって新しいリズムを作り、そこに誰でも出来る簡単なダンスをつけて発信する。

そのリズムがヒットすると、グリオたちは自分たちの音楽に取り入れ、常に伝統と流行を融合させて国民たちを楽しませる。

町中には、そのリズムがいろんなメディアから流れ出し、そのリズムが聞こえるたびに国民たちは合い言葉のようにそのダンスで体を揺らす。

それらのダンスは、出来る出来ないの次元で問われるようなものではない。

そんな流行りのダンスを調子よく踊ってる一般人に「あなたダンス上手ね。」と褒めると照れ笑いしながら「ダンスはできないよ。」と答える。

だから、ダンスの捉え方自体が、日本とセネガルとではそもそも異なっている気がする。

私がそんな説明をインタビュアーに言うと、そのインタビュアーは腕を組み、考えながらこう言った。

「セネガルでいうダンスは、日本でいうグルメみたいな物かな。日本ではグルメはみんな好きだけど、それを職業としてグルメレポーターになるかはまた別の話。」

私は、その例えがやけにシックリいった。

要するに、セネガルにとってダンスとは、日本で言うグルメみたいなものかもしれない。

美味しい物は誰でも好き、という観点から、グルメは生活に密着している。

それを「私はグルメ家。」と自称もできれば、否定もできる。

そして、それを専門家として職業にしている人もいる。

美味しい物を味わった時に心が豊かになるのと同じで、ダンスも心を豊かにする。

日本はダンスに対してその機会を忘れてしまっただけかもしれない。

リズム感云々を心配する前に、音楽を聞いた時の高揚感を表に出す。

この開放感がものすごく気もちいいことを日本人は幼少時の時に感じていたはず。

ダンスこそ、グルメと一緒で強制するものでも、禁止するものでもない。

美味しいものを味わう感覚で、ダンスにも関わってみてほしい。

ダンスはどこの地域のモノでもなく、人間の本能だから。

と、言う事で、ダンスしたくなったらお問い合わせください。(笑)

 

 

六本木ヒルズでのトークイベント
ダンサーファティマタがマイクを握る!!

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