アフロ(アフロビーツ、アフロビート)ダンスはコミュニケーション
アフリカンダンスはコミュニケーション日常の動きから生まれた。
感情表現や意思表示を音楽に乗せてダンスで表現する。
その際に重要なのは『顔』だ。
私は自分のクラスで口が酸っぱくなるほど言っている。
「どんなにダンスのスキルが高くても、無表情で踊っていたら、その人は存在しないに等しい。」
ステージで踊っている人を見る時、オーディエンスはダンサーの手足の動きではなく、顔を見てる。
スキルを評価する人は、ほとんどの場合、同業者(ダンサー)だ。
一般の人はダンスを見ても実はスキルのことはよく分からない。
どれだけ心が揺さぶられたかで評価をする。
人の心を揺さぶることができる武器は感情を一番表現できる顔なのだ。(もちろん間や構成なども感動を作る要因であるが、ここは素人がダンスをする上で、というところに焦点を当てる。)
楽しい顔、怒りの顔、生意気な顔、驚いた顔、魅了する顔、おどけた顔など、表情は動物や赤ちゃんも含め、全世界の共通言語だからだ。
表情の作り方が分からない
超初心者の生徒さんたちが表情について、最初の壁にぶち当たるのは、表情の作り方が分からないということ。
表情がどれだけ大切かは頭では理解できる。
SNSのインフルエンサーの魅力のひとつに顔の表情が素晴らしいということもわかる。
みんな日常生活では感情表現を自然にしているのに、いざダンスとなると、表情の作り方が分からない初心者さんが意外に多い。
動かそうとしても、それがカッコ悪かったらどうしよう。など、恥ずかしい気持ちが前に出てしまい、表情を動かすことに積極的になれないのだ。
それには私も悩んだ。
レッスン中に「楽しい顔」、「生意気な顔」、「驚いた顔」と指示しても、一ミリも表情を動かさない生徒たちが数名いた。
何を言っても本当に一ミリも動かないのだ。
生まれつきひょうきん者で、変な顔をすれば人気者になれると思い込んで育って来た私からしたら、表情を一ミリも動かさない人の気持ちが分からない。
めっちゃ簡単なことなのに。
レッスン後、その生徒たちを呼び出し、勇気を出して聞いてみた。
「私のレッスン、何か気に障ることありましたか?」
本当はもっと核心のついた質問をしたいのだが、なぜか私もビビっていた。
「いや」、という生徒たち。
私は、恐る恐る、「なぜ、表情を変えないのですか?」と尋ねた。
返って来た答えに驚いた。
「本当はやりたいんです。でも、やり方が分からないんです。」と。
表情も筋肉運動
それからというもの、私のクラスでは表情に対するアプローチを変えてみた。
表情も筋肉運動である。
腕立てや腹筋をするように、顔の筋トレを開始した。
「口角を上げて、ほっぺにたこ焼きを作り、それをキープして、眉毛を動かす。」
具体的に筋肉に指示を出す。
そうすると、みんな必死で動かす。
その必死の顔がおかしくて、みんなが爆笑し始める。
それがきっかけで、心がほぐれ、積極的に動かすことができるようになった。
あとはレゴブロックのように、動かす筋肉の組み合わせを変えて、ハッピーフェイスや、いじわるフェイスや、びっくりフェイスなど作って行く。
感情からのアプローチではなく、筋肉からアプローチをすることで、みんな表情を作りやすくなった。
いまでは、生徒たちとステージで踊る機会があると、お客さんから「みんなの表情に引き込まれて、泣きそうになりました。」というお言葉までいただくようになった。
人は人の顔を見る。
楽しい気持ちは顔でしか伝えられない。
ダンスはコミュニケーションだ。
最初はうまく踊れなくても構わない。
心が踊って、それを表現していれば、体は後から付いてくる。
③に続く