アフロダンス修行のためにロンドン・パリへ
アフロビーツの修行のためにロンドン4日間、パリ1週間の旅へ行って来た。
パリで1週間のアフロダンスキャンプがあり、そのキャンプに参加することが大きな目的だった。
ロンドンへのお目当は、私の大好きなダンサー『Homebros』のレッスンを受けるため。
週末に彼らのレッスンがあるので、そのレッスンを受講してから週明けにパリに入る。
ちなみに『Homebros』はパリのキャンプでも先生として招かれていた。
キャンプは7月だが、私は2月からエアチケを取っていた。
時期が近づいてきてからHomebrosがその時期ロンドンで通常通りレッスンしているか尋ねた。
たまに海外遠征などをしていて不在の時がある。(去年がそうだった。)
すると、なんとロンドン滞在期間の最終日にHomebros主催のバトルイベントがあると言うではないか。
なんというタイミング!
このイベントは以前から、SNSなどで見て、レベルの高さとその熱狂ぶりに、いつか生で見てみたいと思っていたイベントである。
「君は見にくる?それとも参加する?」
と聞かれ、、
うっかり「参加します。」と答えてしまった。
ロンドンのAfro Dance Competition
略してADC。(だと思う。)
エントリーしたメンバーは、ADCのinstaのグループチャットに招待される。
ロンドン滞在中、イベントの期日が近づいてくるにつれて、主催者からの連絡事項やメンバーたちの質問などが、ビン♩ピン♩とポップアップで通知が来る。
それだけでワクワクした。
「金曜日の午後にバトル練習会を行います。スタジオにお集まりください。」
と、主催者からのメッセージ。
バトル練習会??
バトル練習会なるものがあるのか!
早速、スタジオに行ってみると、バトルにエントリーしたメンバーたちがぞろぞろ集まって来た。
主催者もいるし、ジャッジに入る大御所ダンサーたちもいらっしゃる。
そして、おもむろにみんながサークルを作ってフリースタイル練習が始まった。
集まったダンサーたちは、全員アフリカ系。
夢のような空間だが、圧倒されてしまい、自分もエントリーメンバーだということを忘れてしまう。
アフリカなら、アジア人というだけで珍しがられチヤホヤしてもらえるが、ここはロンドン。
積極的にサークルに飛び込まない限り、放置プレイだ。
こんな練習が頻繁に行われているのか。。。
日本との違いすぎる環境に興奮なのか嫉妬なのか劣等感なのか、かなり複雑な心境になりながらも、気後れしたテンションをみんなと同じレベルに持って行くことに必死になった。
そして、中盤、バトルを想定しての練習が始まった。
グループバトル、ドゥオバトル、ソロバトル。
先行後攻を決め、本番さながらにタイムを測りながら闘う。
しかも、そのバトルの見せ方にも先生たちの指導が入る。
「ただ、一生懸命踊るだけじゃなく、対戦相手を煽るようなジェスチャーを入れなさい。」
と、先生がバトルのお手本を見せる。
バトル自体がショウアップされるための指導だ。
日本で言うプロレスのようなものだ。
もろもろ、カルチャーショックだった。
私は、もうその光景を見ているだけで、お腹いっぱいだった。
充分楽しめたし、こんな環境で常に練習している人たちとのスキルの差を本番前に思い知ってしまった。
ADC(Afro Dance Competition)2018
本番当日、スマホの地図を見ながら会場を目指す。
去年までの映像を見て、会場はスタジオや体育館みたいなところをイメージしていた。
だが、地図を指しているのは明らかにホール。
間違いじゃないかと何度も確認しなおしたが間違いではなかった。会場はホールだった。
「ゲ!結構な大舞台。。」
すでに高鳴っていた心拍数がさらに上がった。
早めの集合時間を知らされたが、ここもアフリカタイム。かなり待たされた。
控え室でもアジア人は私ひとり。
場違い感がハンパない。
ようやく会場に案内される。
会場はすでにオーディエンスで満員。
MCがハイテンションで開催を告げると会場中がウワァと歓声が上がった。
MCがジャッジの紹介をして、その後、進行の流れの説明に入った。
私の英語力もそうだが、会場に響くエコーのお陰でひとつも何を言っているか分からない。
突然DJが音楽をかけ、MCが名前を叫び、ダンサーが次から次へとフロアに飛び出し踊りだした。
明らかにバトルの雰囲気ではない。
何が始まったのか。
「ワッツハプン!!」
人見知りな私だが、事態を把握してない私は隣にいたカリビアンの女性ダンサーに必死に問いかけた。
「16人を見ている!」
他にも何か言ってたが、彼女の返答から理解できた単語はそれだけだった。
「私たち全員ですか?」
「ちがう、16人だ。」
爆音の音楽の中で叫ぶように私たちのやりとり。
質問したい文章をじっくり考えるゆとりもなく、「ちがう、16人だ。」という情報の中から、事態を解釈するしかなかった。
我々エントリーダンサーは優に16人以上いる。
今踊ってるダンサーたちは、すでに選ばれた16人のダンサーなのか?
その時だった。
MCが「ファティマーーーーーーー!」と叫んだ。
ファティマって、誰?
『タ』がない。
あたりを見回しても、勢いよく出て行くダンサーがいない。
まさか、私か?
おそるおそる立ち上がると、周りにいたダンサーたちが突然私に声援を投げかけた。
きっと私だ!!!!
なんか分からないけど、フロアに飛び出した。
あとは何も覚えてない。
全員が踊り終え、休憩タイム。
それで気づいた、今のが予選だった。
16人とは、今のダンスで16人を選んでいたのだ。
その瞬間、一気に肩の荷が降りたのを覚えてる。
遅ればせながら身をもってバトルのプロセスを理解した。
選ばれることの期待は微塵もなく、あまりにも一瞬で終わってしまったことにしばらく放心状態だった。
アフロであること
予選が終わると、すっかり私は観客となり白熱したバトルを見て楽しんだ。
本番はバトル練習会のそれとは全然違っていた。
練習会では持っていた実力を隠していたのか、本番のバイブスは目を見張るものがあった。
Duoバトルでは、とても面白いことをやる2人組みがいた。スキルも高く、すごい面白いコレオグラフをする。
会場の湧き方もハンパなかったが、結果は敗退。
そのジャッジに会場がブーイングをした。
敗退の原因は『ダンスの内容がアフロではなかった。』ということだった。
アフロビーツに合わせて面白い技をやればそれでいいわけじゃないのだ。
イベントのタイトルは『Afro Dance Competition』だ。
なんとも奥が深い。
何がアフロなのかの定義すら浸透してない日本では、全く通用しない世界だ。
パリでの挑戦
パリのダンスキャンプでも最終日にバトルイベントがあった。
ロンドンでの大舞台を経験できた私は、パリの方は少し気持ちが楽になっていた。
パリのダンスバトルはすでにルールが決まっていた。
ソロバトル(1vs1)は2つのカテゴリーから選べる。
『クドゥロ&アフロハウス』か、『ンドンボロ&クペデカレ』
私が得意とするアゾントは『アフロビーツ』に属するが、残念ながら『アフロビーツ』というカテゴリはなく、
ドゥオバトル(2vs2)のカテゴリである『アフロオールスタイル』しか選択できない。
アフロビーツで踊りたかったら相方がいないとエントリーできないのだ。
私は一緒にキャンプに来ていたダンス仲間のひとりとデゥオを組みエントリーをした。
バトル予選
私たちのように、カテゴリを絞りきれないダンサーたちはみんな相方を探しドゥオバトルでエントリーした。
ドゥオバトルのエントリー数は16組。
ここでは8組に絞るための予選が行われた。
今回もMCでの進行の説明だったが、ロンドンを経験していた私はすぐに流れを理解できた。
予選はフリースタイル1分を2人で踊る。
パリの予選は、あらかじめMCが審査の順番を読み上げてくれたので助かった。
我々は3番目。
前のグループが踊っている間にステージ袖にスタンバイしながら超高速で打ち合わせをした。
「他の誰もやってないパンツーラの合わせ(コレオグラフ)を軽く4×8(16小節が4つ)やろう。そしたら私が先にソロ、その次あなたがソロ。」
その口調3倍速。
そして、我々の名前が呼び上げられ、ステージに上がった。
キャンプ中にお友達になった海外のダンサーたちが「ジャパーーーン!」と叫ぶ。
DJが曲をかけた。
なんと!!
その曲、想定外のスロー。(選曲はすべてDJに委ねられてある。)
バトルのイベントでスローテンポがかかるとは想定外だった。
なんともメロウでまったりとした曲が流れている。
イベントでひと盛り上がりした後にクールダウンにかかるような曲だ。
バトルの予選でなければ、気持ちよくビール片手にウェーブしながら踊っているだろ。
しかも、打ち合わせで決めた合わせ(コレオグラフ)はパンツーラ(高速ステップが特徴)だ。
スローテンポで4×8はかなり時間のロスである。
時間は通常通り刻々と進むなか、我々だけがスローモーションで動く魔法にかけられたようだった。
そして、16組中、スローテンポだったのは我々ジャパニーズだけだった。
なぜ。なぜ。なぜ。
若干、ネガティブマインドにも陥ったが、これがバトルの世界なのだ。
DJが選曲した曲に対応できるスキルも問われるのだ。
「お疲れ様・・・・。」
我々はそれ以上何も言わず、そのままスッと観客と化した。
アフロであること
ここでもロンドンと同じようなことが起きた。
クドゥロ&アフロハウスのソロバトル。
この子が絶対勝つだろうと思った子が敗退するシーンだ。
ジャッジの結果に会場もざわめく。
そこで、ジャッジの1人が立ち上がりマイクを取った。
「彼女はフリースタイルで評価するなら勝っていた。だけど、なんのためにカテゴリ分けされているのか考えて欲しい。」
要するに、クドゥロ&アフロハウスという決められたカテゴリの中で、彼女は好き勝手なスタイルで踊っていたことがマイナス評価となった。
他にもそういうシーンはあった。
キャリアがあるダンサーが他のスタイルを混ぜて踊ったことで、基本に忠実に踊っていた若手ダンサーに負けたのだ。
私はそのジャッジにすごい共感したとともに、自分のアフロに対する考え方や、向かっている方向性が間違ってないことを確信した。
要するに『アフロスタイル』と『アフロダンス』は違う。
アフリカンダンスは数えきれないほどの種類があるが、どれも奥が深く表面を舐めただけで得られるものではない。
日本ではちょっとかじっただけでアフロを名乗るにわかアフロダンサーは多いが、それがどんなにスキルが高くても世界のアフロバトルでは通用しないのだ。
今回それが分かったことが、私にとって自信につながった。
私は、アゾント・アフロビーツに関してはまだまだ初心者であることは心得ている。
サバールダンスは20年近くやって来たが、アフロビーツに関してはまだ4年しかやっていない。
すでにガーナに5回、ロンドンに2回、パリに2回とアフロを勉強しに行っているが、セネガルの18回に比べたら、まだまだ掘り尽くせていない。
そのコダワリをただの『オタク』とか『マニア』と思われることも多いが、
それでいいのだ。
ファッションのようにテイストだけ取り入れて、アフロをうたっているにわかアフリカンダンサーに違和感を感じているその感覚は、間違っていなかったのだ。
勘違いしないで欲しい、いろんなダンスが上手に踊れるに越したことはないし、ダンス全体を評価するときに、ジャンルにコダワることはとても愚かなことだ。
ただ、アフロはファッションのように誰でもかれでも簡単にマスターできるものではないということ。
その信念をもって地道に勉強して来た今までの年月は無駄ではなかったし、これからも同じように勉強し続けて良いのだ。
それが確信できただけ、今回、ロンドン・パリのバトルに参戦した意味があった。
そして、自分がいろいろ足りないことを発見できた旅となった。
引退していく同世代が多いが、まだまだ終われない。。
また新しい作戦が頭を駆け巡る。
また新たなる次の挑戦へと!!
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