いざセネガルへ!
セネガルに出発する日が訪れた。
遠距離恋愛をしていた長い長い日々、待ちに待ったやっとこの日が来たのだ。
遂にゼイヌとの再会できる。
セネガル出発の日が来ても、成田からダカールまでの空の旅は約20時間。
とにかく、セネガルは気が遠くなるほど遠い。
ミラノを経由してからのセネガル。
ミラノまでは約12時間。
ミラノでのトランジットの待ち時間も相当長い。
ゆっくりピザを食べて、デューティーフリーをグルグル見学してもつぶし切れないほどの待ち時間が余る。
成田を出国し、まずはミラノへ。
映画を見たり、寝てみたり。
そしてやっとミラノまで到着。
モサモサになった髪とパンパンになった足をほぐし、ミラノの空港へ降り立った。
ここからがまた長い。
何もやることがなくなった私は、キャリーケースをコロコロ転がしながら、まだ早いがダカール行きのゲートへ行ってみた。
エスカレーターでそのフロアへ降りると、いきなり黒人の人口が高くなった。
出発ゲートによって待っている人種がガラリと変わるのが面白い。
まだミラノの空港にいるにも関わらず、そのゲートはモワッとセネガルの香りが漂った。
チューライというセネガルのお香の匂い。
セネガル人なら誰もが部屋の中でそのお香を焚く。
そのチューライの香りは彼らが着る衣類にも香りが染み付くのだ。
そのチューライの香りと、時折響くモトローラ携帯の着信音がセネガルにいる時の感覚を呼び起こしてた。
「うわっ 懐かしい!!」
それまでダレていた私も、一気にテンションが上がった。
あちらこちらでセネガルの部族語、ウォロフ語が耳に入ってくる。
彼らにこっそり近づいて、盗み聞きをする。
どれだけ彼らの言っていることが分かるか。
そうこうしているうちにダカール行きの時間が来た。
ダカールまでは約8時間。
長いフライトからセネガル到着!
その8時間のフライトも、彼らと一緒は心地よく、ダカール到着まで割と早く感じた。
ダカールは夜中。
窓の外からダカールのイルミネーションがキラキラ見え始めると、ところどころで歓喜の声が上がった。
みんな故郷に帰ってきたんだ。
「ただいま、セネガル。」
ドスッ。
機体が着陸した振動が体に伝わった。
無事に着陸すると、同乗しているセネガル人たちはさらに歓喜の声を上げた。
飛行機を降りると、モワっとしたセネガル独特の匂いと湿度。
そして風。
バスに乗り込み、入国審査カウンターへ向かった。
入国審査には長蛇の列。
私は列の最後尾に着いた。
後ろからパラパラとやって来るセネガル人が平気で私の前に割り込む。
そんな彼らにイライラしながら、前の人にピッタリくっ付きながらジワジワ進んだ。
ようやく自分の入国審査を終え、荷物がグルグル回っているベルトコンベアのフロアへ行くと、またそこは人だかり。
やっとのことで自分の大きなスーツケースを見つけ、それを引っぱり下ろした。
私は、必ずチップを要求してくる空港の職員たちと目が合わないように、若干駆け足でお迎えの人だかりがいるエリアへ出た。
ゼイヌとの再開
ドキドキしながら周りを一望した。
当たり前だがみんな黒い。
その中にゼイヌはいるのか。
一年ぶりに会う彼、お互いに顔を見てちゃんと分かるだろうか。
スーツケースの上にキャリーバックを乗っけてゴロゴロ押しながら表に出た。
まだ、パスポートがないと外部の人は入れないエリア。
ここにいればとりあえず安全。
深夜でも、柵の向こう側は迎えに来たセネガル人でごった返してる。
去年の記憶が蘇った。
あの柵から一歩外に出ると、待ち構えていたセネガル人がハエのように寄ってくる。
そして、四方八方から手が伸び、スーツケースやボストンバッグを引っ張る。
彼らは引ったくりをしようとしているのではなく、荷物を運ぶのを手伝おうとしているのだ。
ひとつのスーツケースに5人くらいが群がる。
彼らの目的はチップ。
まだ現地通貨に両替してない外貨はそれが最低金額であろうと、彼らからしたら大金。
そして、「俺が先だ。」「俺が先だ。」とチップを巡る争奪戦になるのだ。
誰も運んでくれなど頼んでないのに・・。
それに比べて、現地の友人がちゃんと迎えに来ていれば、そんな悶着を起こすことなくスマートに空港を出れる。
誰も迎えにこないダカールの空港へは一人では来れないな。
そんな思いを巡らしながら、柵の外の人だかりを遠目にゼイヌを探した。
一瞬みんな同じに見える。
遠くで、誰かが手を振った。
ゼイヌだ!!
私は足を前に踏み出し軽く手を振り上げた。
それと同時に別の誰かが彼に駆け寄って二人は飛び付くようにハグをした。
「あれ、人違い…。」
私は何ごともなかったように上げたその手を前髪に移した。
自分の記憶の中のゼイヌ。
無意識に白いシャツを探していた。
その瞬間、彼の姿が目に入った。
「いた!」
今度こそゼイヌだ!
彼は今でも白いシャツだった。
向こうも同じタイミングで私を見つけた。
ゼイヌは落ち着き払って大きく手を振り、人差し指でぐるっと自分たちの落ち合う場所を誘導した。
私はうん、うん、と大きくうなずいて、足早に彼の指し示す方へ向かった。
彼がだんだん近づいてくる。
そして、彼の元まで到着した。
彼はゆっくり近づいて来て、私のスーツケースに手を伸ばした。
「サヴァ?」
「さば びぇん」
私たちは笑いながらしばらく見つめ合った。
私が想像していた再会とは掛け離れた静かな始まり。
でも充分だった。
私はこの現実が嘘じゃない喜びをゆっくり噛み締めていた。
動画で見る。セネガルってこんなところ
タンガナツアーの参加者たちをお迎えに空港へ。
陽気なセネガル人たちは、深夜であとうとそこが空港であろうとどこでも歌って踊りだす。