ファティマタセネガル物語

ファティマタセネガル物語(7)〜何度も大嫌いになった第二の故郷〜

ファティマタセネガル物語(1)はこちらから

 

か弱い乙女心

時が経つにつれて想像の世界がだんだんとリアルの世界に近づいていく。

ゼイヌに送金をして何日間か経過していた。

スケジュール帳をめくりながらセネガル出発までの日を指折りで数える日が続いた。

ゼイヌとの再開が待ち遠しい。

そんな時に、舞い上がっている私の気持に水を差すようなチャットが届いた。

 

「ねぇ、お金が足りない。どうしよう。」

 

さすがに今回は画面の前で固まった。

この前送ったばかりなのに・・。

ゼイヌは前回のお金は全て家主に支払ったと説明してきた。

続けて、家具を揃えるためのお金が必要になったと言うのだ。

 

「奨学金は?」

 

聞きたくなかったが、聞かずにはいられなかった。

奨学金の入金が予定より少し遅れていて、そのために揃えたい家具が揃えられない、と。

またいつもの困った顔の連打が始まった。

少しためらった。

でも、もう時間は迫っている。

愛の巣のためならしょうがない。

ゼイヌは将来エリートだし、誠実だし、借りたお金を返さないわけがない。

そう信じ込んだ。

そして私はまた彼が提示してきた金額を送ることにした。

あと、数週間でセネガル。

職場との折り合いもつけ、2ヶ月FIXでエアチケットも取れた。

出発まではまだ早いがスーツケースを引っ張り出して、いろいろ物を詰め込んでみた。

同じセネガル滞在でも去年までのパッキングの内容とずいぶん違う。

シャンプーの匂いひとつにしてもランクが上がった。

ゼイヌにもうすぐ会えると思うだけで、毎日落ち着かなかった。

布団に入ってもなかなか寝付けない。

起き上がってはパスポートの有効期限を確認したり、一度スーツケースに入れたジャケットを取り出して、別のジャケットに変えてみたり、カメラの電池の数を増やしてみたりした。

9時間の時差はあるもののゼイヌがログインする時間になると、いてもたってもいられずパソコンの前に座りゼイヌの応答を待った。

ゼイヌもきっともうすぐ私に会える事で気持ちが高ぶっているはずだよね?  

そう信じていた。

 

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直前のすれ違い

ゼイヌとの最後のコンタクトから3、4日が経っていた。

最近ちっともゼイヌはログインにならない。

この3、4日の間は他のことが手につかず、イライラしながらパソコンを気にしていた。

すれ違いなのか、いつもの時間にログインになる気配がない。

 

「ったくなんなんだよ!」

 

馴れ合いのカップルのように彼のことをののしってみた。

でも気持ちの不安は解消しないまま。

私がこの時間にパソコンをつけているの知ってるのに、なんでゼイヌはログインしないんだろう。

私、もうすぐセネガル行くんだよ? 

行っていんだよね? 

ねぇ、行っちゃうよ?

すでに手配済みのセネガル行きチケットは2ヶ月FIX。

ねぇお願い! 

応答して!!

ゼイヌがログインしない時間が長ければ長い程、私のパソコンチェックの頻度は増えていった。

もう、もはやパソコンはつけっぱなし状態だった。

 

そんな時、やっとゼイヌがログイン表示が現れた。

画面の下に突然ヒョコッと現れたメッセンジャーのゼイヌという文字の表示に私の心臓は高鳴った。

 

「来たっ!!」

 

飛び付きたい衝動をグッとこらえた。

ここで飛びついたら私の負け。

これだけ私を待たせておいて、向こうから話しかけて来るまで絶対しゃべってやるものか。

私はパソコンとにらめっこした。

 

長い・・・。

時計の秒針の音が耳に障る。

これだけ私をほうっておいてどういうつもりなのか?

負けちゃおっかな。 

今日だけ。

私はチャットで話しかけた。

 

「もしもし・・」

 

それでもゼイヌは無反応。

もう開き直った。

 

「もしもしもしもしもしもしもし!!!」

 

ようやくゼイヌが反応した。

 

「元気?」

 

元気なわけないだろう。

そして私は噛み付くように、どうして今まで私をほうっておいたのか責めた。

ゼイヌは最近大学の研究で忙しく、このままだと年明けも研修のために郊外まで遠出をしないといけないと説明して来た。

そして、次には耳を疑うようなことを言ってきた。

 

「君がセネガルに来る時期、俺、ダカールにいないかもしれない。」

 

「えっ!!!」

 

意味が分からない。

 

「なぜ?」

 

そう尋ねても、彼が返すのは困った顔の連打のみ。

困った時のお決まりのパターンだ。

私は彼の言葉を待たず、自分のフライトナンバーと到着時刻を書き込んだ。

そして返って来た返事は「OK。」という文字だけだった。 

「OK」とはどういう意味なのだろう。

いまいちスッキリしない。

不安でいっぱいになった。

それでも行くしか道はない。

いまさらチケットを取り消せない。

きっとセネガルに行けば、どうにかなる。

とりあえず、出発するしかなかった。

 

 

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ファティマタセネガル物語 第8話へつづく

 

動画で見る、セネガルってこんなところ!

 セネガルでのダンス合宿『タンガナツアー』。
私たちの師匠パムサのダンスレッスン。
『ファース』というダンスリズムを指導中、タンガナジェルのメンバーyussyが『ファース』の意味を土地の名前でなく、『ファス(馬)』だと思って、みんなに「これは馬という意味のリズムだ。」と間違って通訳していた。
パムサ先生がyussyの解釈の間違いに気がつき、それを指摘すると、yussyは慌てて謝りだした。
それにツボったパムサ先生のマンガのような笑い方に注目。
その後、日本文化を象徴するような謝罪合戦が始まった。
パムサ先生が日本文化を楽しんでいる姿が必見!

 

 

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