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元気をくれるのはベンジーとセネガルのお昼ごはん

ゼイヌへの不安な気持ちは回復したが、それでも彼の生活パターンは変わらなかった。

午後3時ころ起きて来て、フラッとひとりで外出するか、居間でゲームをするかテレビを見ている。

その生活パターンはベンジーも呆れていた。

私は頭を切り替え、朝9時に起きて、屋上にあるフィットネスジムで毎朝トレーニングを始めた。

この建物はベンジーのお父さんの持ち物で屋上で小さなフィットネスジムも経営していた。

私が滞在している間はそのフィットネスジムを自由に使っていいよ。とベンジーは言ってくれた。

約2時間のトレーニングを終えて部屋に戻ると、ちょうどお昼の休憩を取りにベンジーがラジオ局から帰ってくる。

ベンジーはヤマにお金を渡してお昼ごはんを買いに行かせた。

ヤマは洗面器ほどの大きなステンレスのお皿を持って、だいたい3人分くらいの昼ごはんを近くの食堂まで買いに行った。

セネガルのごはんは、ライスの上にトマトソースで煮込んだ野菜や魚がかかっている物が多かった。

 

 

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大皿を持って安食堂に行くと、人数分を盛ってくれる。

どんなに安い食堂でもセネガル料理はとてもおいしい。

ヤマが居間のテーブルに買ってきた食事をドンと置くと、ベンジーは私を誘ってくれた。

そして3人で大皿にスプーンを突っ込んで食べた。

これがセネガルの食事のスタイル。

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去年の話しではゼイヌの家へお昼を食べに行く事になっていたが、ゼイヌは一回も私を誘ってくれたことがない。

私が彼に送ったお金はきっとベンジーに支払われ、借りている部屋以外にきっと食事代もそこから賄われているだろう。

いい加減、ゼイヌともお金の話をしなければいけない。

私が送金したお金はあくまでも彼に貸したお金。

お昼を食べ終わると、ベンジーはまた仕事に出かけ、ヤマはタバコを吸いながらテレビを見始めた。

部屋に戻るとゼイヌはいつもの調子でまだ寝ていた。

私は、ゼイヌを起こして、勇気を出して問いかけた。

「ねぇ、お金、いつ返してくれるの?」

 

彼は伸びをしながら、「そのうち返すよ。」と言ってそのままシャワーを浴びに行ってしまった。

何度問いかけてもゼイヌとのコミュニケーションはいつもそんな感じだった。

 

ベンジーは私が元気がないことに気付くと、いつも私を笑わそうと何か話すたびに大げさなアクションで私を元気づけてくれた。

ある時、ベンジーは私たちの冷めた空気を盛り上げようと、次の休みにゴール島に遊びに行くことを提案してくれた。

ゴール島にはベンジーのお父さんが持っているペンションがあり、9月、10月だと観光客で賑わうが、1月のちょうどこの時期はお客さんが少ないので、閉めていると言う。

今だったらお客さんがいないのでタダで泊まれる、との提案だった。

私は大賛成した。

セネガルに来てからまだどこにも遊びに行ってない。

私はゼイヌの同意を求めた。

彼もそれには賛成してくれた。

満場一致で次の日曜日、私達はゴール島へ遊びに行くことになった。

ゼイヌの親友

ゼイヌには昔からの大親友がいた。

名前はユッスー。

ダカールから東へ40キロ離れたチェスというところに住んでいた。

去年のゼイヌとのチャットの中でも頻繁に彼の名前が出てきた。

そのユッスーが仕事の関係でダカールに訪れた。

そして、私たちがいるアパートにふらっと立ち寄った。

 

ゼイヌはユッスーを私たちの部屋へ招いた。

ユッスーは私を見るといきなり「君かぁ!」と握手の手を差し出し歩み寄って来た。

「君の話しは前からよく聞かされていたよ。コイツが日本人の彼女が出来たと嬉しそうに連絡して来た時は俺も本当に嬉しかった。コイツ、すごい不器用だけど、よろしく頼むな!」 と、握ったままの私の手を上下にブンブン振った。

それからユッスーはゴソゴソとかばんの中に手を突っ込み何かを探しだした。

そして、「サイズが合うかな」とおもむろに私の手首に取り出した物を装着した。

それはシルバーのブレスレットだった。

驚いたことに、それには私の名前が掘ってあったのだ。

「カド(プレゼント)。」と、ユッスーが笑った。

セネガルではよく自分の物を「カド!(プレゼント)」と言ってプレゼント交換することはあったが、ここまで高価な物をもらうのは初めてだった。

ユッスーからもらったブレスレットは不器用なゼイヌからのメッセージのようにも思えた。

ユッスーの言う通りゼイヌはほんとうに不器用なだけなのかも・・・。

ゼイヌはユッスーの前では、まるで学生時代に戻ったように子供のようにはしゃいでいた。

私の頭をこついたり、肩に手を回して来たりもした。

無邪気なゼイヌの様子がおかしくて、私はそれが愛おしく、ずっと微笑んで眺めていた。

彼はユッスーの前ではなんでもしゃべる。

だから私にとって、ユッスーはゼイヌの分身のように感じてしまっていた。

ゼイヌに聞きたいことはユッスーに聞けばいいし、 ユッスーに話すことはゼイヌに伝わると思い込んだ。

ゼイヌが席を外しているタイミングで、自分の悩みをユッスーに打ち明け、私がゼイヌのことをどんなに好きか伝えた。

ユッスーはとても優しく私を安心させてくれる言葉を投げかけてくれた。

 

「ゼイヌはね、君のことが大好きだよ。」

 

私はその言葉をゼイヌからの言葉とだと錯覚し、信じ込んだ。

 

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ファティマタセネガル物語 第12話

 

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