ファティマタセネガル物語は2004年にファティマタが経験したノンフィクションストーリーです。

ファティマタセネガル物語(1)はこちらから

 

新しい友達ウミ

翌朝、羊やニワトリの声で目が覚めた。

まだ時差ぼけのせいで、スッキリしない。

隣にはヤマが寝ている。

1年前の出来事が昨日のように思い出された。

セネガル初日の朝は必ず誰かが隣で寝ている。

私は部屋を出て、物音のする台所の方にのぞきに行ってみた。

そこでは、台所の床をタワシで磨いているウミがいた。

後ろで結わいてあった髪がほどけて顔にかかっていても、お構いなしで掃除していた。

ウミは私が覗いていることに気がついてなかった。

 

「サラマレクム(おはよ)」

 

私が小声で声をかけると、ウミはビックリして顔を上げた。

私の顔を見るとニコっと笑った。

 

「マレクムサラム(おはよ)」

 

ウミは化粧っ気は全くなくても目鼻立ちの整った顔はとても美しく、ひたむきに家事仕事をしているその姿は、まさに一般男性が抱く理想的な女性という感じだった。

ウミのような清潔で掃除好きな女性と一緒に生活できることで、私はゴキブリの恐怖から少し開放される気がした。

ウミは台所の掃除が終わると、今度はトイレの掃除を始めた。

便器の中まで手を突っ込んで綺麗に磨いていた。

今年のセネガルは汚物で汚れているよなトイレに遭遇することはもうないだろう。

それだけで快適なセネガルライフが想像できる。

手持ち無沙汰だった私はウミに「手伝いましょうか?」と声かけてみた。

すると、ウミは断るわけでもなく、キョロキョロと周りを見渡し、雑巾を見つけて私に差し出して、ニコっと笑った。

私とウミで掃除をしているところをベンジーが通りかかり、「すっかり仲良しになったなぁ」と嬉しそうにし眺めていた。

ウミは口数が少なかったが私に興味があるのは見て分かった。

何度となくこちらを見てはニコっと笑っていた。

掃除が終わり、すかすがしい感じで部屋に戻るとまだヤマは大の字で寝ていた。

やっぱりこのシチュエーションに少々イラっとさせられる。

なにが用心棒だ。

 

私はヤマを起こし、ちょっと意地悪な質問をした。

 

「私のケータイは?すぐにないと困るんですけど。」

 

ヤマはボサボサの髪の毛を整え、ぶっきらぼうに「買って来るからタクシー代ちょうだい。」と言ってきた。

 

ああ、これだ。これ、これ。

また、始まった。

セネガルでは誰もが簡単に「お金ちょうだい。」と言ってくるんだった。

 

モヤッとした気持を抑え、去年より警戒体勢に入っていた私は、すぐにお金は渡さないと決めてかかっていた。

まずは疑う。

渡したお金を本当にタクシー代として使うだろうか。

買いに行ったフリして「行ったけど店が閉まってた。」などウソをついてタクシー代をちょろまかすかもしれない。

私が疑いの目でヤマをジッと見ていると、

「ケータイ、いらないなら行かないよ。」

と言って、あくびしてまたゴロっと横になった。

 

ケータイは必要。

 

釈然としないが、私は言われた金額を渋々ヤマに渡した。

ヤマはそのお金を受け取ると顔を洗い、髪を整えどこかに出かけて行った。

 

新しい生活

私が部屋を出ると、居間にはウミがゴザの上に座ってラジオを聞いていた。

今年は居間と言ってもテーブルもソファーもテレビもなく、ゴザとラジオだけだった。

ウミは私を見るとまたニコっと笑って、床をポンポンと叩いて私を隣に座らせるようなジェスチャーをした。

私はウミの隣に座り、長い間いろんな話をした。

ウミは美人だし、図々しくないし、一緒にいて心地よかった。

ウミも私の話に興味を示し目を輝かせて聞いていた。

ウミは「お昼ご飯を作らなきゃ」と立ち上がったが、私にも一緒に台所に来て欲しいと誘ってきた。

 

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私たちは2日目にしてすごく打ち解けてしまった。

 

 

その間ベンジーは、一歩も外に出ることなくずっと自分の部屋にこもっていた。

この家になってからベンジーは部屋にこもっていて、頻繁に顔を合わせることが少なかった。

以前のようなおせっかいでコミカルなベンジーはどこに行ってしまったのか。

 

そして、ベンジーが部屋から出てくるたびに、マリファナの臭いがフワっと漂った。

 

ファティマタセネガル物語 第24話へつづく

 

動画で見るセネガルこんなところ

なんと懐かしい!
2007年のセネガルツアーサバールダンス合宿のダイジェストムービー。
今ではヨーロッパなどで大活躍中のアーティストたちがまだ子ども。
そして、ダンスレッスンが砂浜!!
そして、まだツアーTシャツもフラッグもない時代!